3G/LTE時代の覇者Qualcommを打ち破るのはIntelかそれとも中国メーカーか?(前篇)

2010年台後半の最重要デバイスは、3G/LTEモデムである。という話。
Windows + Intelプラットホームが、Android + Snapdragonにいいようにヤられている原因も、逆転の要素も3G/LTEモデムにあると言っていい。

日本ではWindows Phoneが上陸していないこともあり、MSが落ちぶれたのはWindows 8.1が駄作なせいだみたいな論調が見受けられるが、全世界的に言えば、どうみてもスマートフォン向けOSでAndroidにボロ負けしたのが原因なのが数字で見えている。

3つのキーワードに隠された次世代Windowsの目標
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/20140807_661173.html

当のMSはそのことを良く理解していて、Nokiaを買ったりしたのもその巻き返し策の一環だ。当然Androidスマホなんて継続するわけがない。

MSはAndroidベースのNokia Xを終了、ローエンドもWindows Phoneで挑む
http://ascii.jp/elem/000/000/916/916653/

MSはタブレット向けOSでもパッとしていないのだが、タブレット市場はすでに踊り場に差し掛かっている気配があり、主戦場はスマートフォン市場になりそうだ。

世界タブレット市場、出荷台数が初めて前年割れ、小型機の需要低下で
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140711/570842/

数字の見ようによっては、PC市場よりタブレット市場の方がやばいようにも見える。

タブレットを脅かす要因は2つ、

1. Androidスマホの低価格化($200未満)および、大型化(6インチ以上のモデルが存在)により、Androidスマホとの融和が進む
2. Windows PCのタブレット対応により、Windows PCとの融和が進む

市場としては、タブレットとしての存在価値があるのはiPadだけで、残りは上記の1か2に寄り添う形で、存在自体が無くなるんじゃないか?ってのが良くある予想の一つである。また、良くある予想としては$200未満の製品だけが残ってそれ以外はなくなるというものだ。どっちにしても商売としては厳しそうだ。

タブレット向けSoCとスマホ向けSoCの違いは、内蔵3G/LTEモデムの有り無しだ。ここでやっと今回のキーワードが登場するのだが、この3G/LTEモデム機能をもったSoCをQualcomm Snapdragonが独占している。

さらに言えば、PC向けの3G/LTEモデムを提供している会社は主に2社、SIERRA Wirelessと、Huaweiだが、SIERRAが使っているモデムはQualcommのモデムチップだ。もっと言えば、iPhone/iPadの3G/LTEモデムもQualcommチップなので、今、3G/LTEと言えばQualcommなのだ。

Essential Modules
http://www.sierrawireless.com/productsandservices/AirPrime_Wireless_Modules/Essential_Modules.aspx

スマホに必須の3G/LTE通信機能のほとんどを1社が独占しているというのが、2014年の市場の状況だ。2社以外にも例えばNECや松下、富士通が3G/LTEモデムを作ったり、持っていたりしたのだが、

NTTドコモ、LTEや3Gなど4方式対応のモデムLSIでTD-LTEのデモ
http://wirelesswire.jp/special/201202/01/report/22.html

国産ハイスペックスマホの代名詞「ARROWS」シリーズの開発秘話とは!? 富士通インタビュー[前編]
http://mobileascii.jp/elem/000/000/073/73802/

こういう国内専業メーカーがキャリアの手厚い庇護の元で国内でしか使わないような高い部品を作るという戦略は国際競争では通用するわけがなく、NECと松下はスマホから撤退し、富士通はスマホ事業で大赤字を出すに至るのだった。

NEC、パナは撤退したのに、なぜ富士通は生き残れたのか
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20131202/256578/

携帯は今期大赤字、”生存者”富士通の苦悩
http://toyokeizai.net/articles/-/30074

このように通してみると、2010年代前半のスマホ・PC勝負はキーデバイスである、3G/LTEモデムを独占するQualcommがどこの陣営に味方するかという勝負だったという見方をすることができて、QualcommがAndroid側についたからAndroidが勝ったんだ。と言っちゃっていいだろう。というのがこの前半で私が言いたいことだ。

Android初期段階で勢いのあった、nVidia Tegraシリーズ、 TI OMAPシリーズ辺りがスマホに手を出せずにすっかり死にそうになって、車載SoC等別の路線に活路を見出そうとしているのもさらにそれを裏付ける。

この状況を踏まえれば、Windows Phone 8.1がQualcomm SoCにべったり依存しているってのが何か非常によろしくない状況であることが見えてくる。

iOSでもAndroidでもない、「Windows Phone 8.1」という可能性 (1/3)
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1404/09/news035.html

この話、後半に続く。