VAIOアリガトウ、そしてサヨウナラ

SONYがVAIO事業を売却したという話。随分と派手に事業に失敗したみたいで。

表面的な感じではこんな感じの事象としてとられているようだ。

ソニーから学ぶ 事業撤退の「引き際」
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1402/10/news023.html

これは終わりではない、VAIO新時代への幕開けだ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/20140207_634280.html

が、個人的にはこっちの意見に近い。

VAIOはなぜ存在感をなくしていったのか?──ソニーPC事業売却【前編】
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140209/1055056/?P=1

今回の場合、個別の製品がどうとかは余り関係が無いと思われて、事業規模で1000万台を目標に設定していた事業が580万台まで落ちたら、目標に対して4割減だ。体制そのものは800~1000万位の規模を想定してたんだから、こんな大チョンボ滅多にないはず。2013年はPCマーケットが10%減くらいでここ30年くらいで初めてマーケットが萎んだ年だったが、マーケットに寄り添った結果にもなっていない。何らかの大失策の結果と言えるんだと思われる。

その失策が何かという話だが、それが大河原氏が言うところの拡大路線の失敗なのかは判らないが、個人的には「1ooo万台(出荷できない)病」を発症してそのまま死んでしまったのだと思う。パソコンで1000万台を超えるには超えなければいけない壁があり、その際たる壁はODM活用だ。

自社設計、自社管理だけで1000万台の維持は無理、普及価格帯・低価格路線を維持したいのであればODMを活用しなければいけない。ODMにVAIOマインドを入れ込むことで1000万台出荷となる目論見だったと思うのだが、道半ばで倒れたことになる。ただ、800万台まで行けていたSONYの場合は、Quanta, Foxconn, Wistron辺りのODMを既に使っていたのでこのタイミングでいきなり大問題が発生するとも思えない。単に数の話であればODMを後一つ増やせば1000万台になったはずだ。

となると、要因はODM管理ではなく作った商品にあるのだろうか?。

想定される要因は、富士通のスマホ事業みたいな「VAIOに大量の不良品」のような話であるか、

第3四半期決算で浮き彫りになった富士通PCとスマホの明暗
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/gyokai/20140201_633388.html

地域に関わらず、一番数が出るごく普通のパソコンが全然売れなかったという致命的な出来事が起きていたはずだ。

台数という点でいうと、Windows 8のタイミングでIntel Atomが消えたのが痛かった。低価格向けに判りやすくセグメント分けされたプロセッサが消えたことにより、単価がぐっと上がって付いてこれるお客が減った。これにWindows Me/Vistaの再来といわれた「失敗」OS、Windows 8と、Tablet/Smartphoneの攻勢が重なって、どこのメーカーも出荷数を減らす結果となった。だが、これはどこのメーカーにも共通に起きていた出来事なのでVAIOだけの不幸ではない。

B2Bビジネスが弱いのでXPサポート終了特需に乗っかれないというのも判るが、それも今に始まった話ではないので、ビジネスプランにXP特需を見越したものがそんなに多くあったとも思えない。

ここでちょっと変だと思うのは、出荷台数が振るわない場合は価格を下げて赤字を出してでも台数を追及することもできたのだが、そういう策は取らなかったのいうのが見える。一方で、利益優先という割には20%超という台数の低下が酷すぎる、利益を追求しつつ台数を増やすのは至難の業なので、失敗した際の対応策もあるべきなのだが、どうも適切な対応策が取られていたように見えない。なーんか去年は既に撤退ありき、失敗させようみたいな雰囲気が数字から見えていてやな感じだ。

正直、ピークの829万台が2012年に760万台に落ちた時点で既に駄目だと思ったんじゃなかろうか?2年連続(8四半期継続)して対応策が失敗したとかあり得ないんだけど。

補足として、縮小均衡策が取れなかったのは理解できる。800万台クラスのメーカーがマーケットの動きに合わせて、10%減でビジネスをすると、720万台クラスのメーカーになってしまう(実際は580万台位だったが)。そうなると事業部の規模とマーケットの規模が合わずに自重で潰れてしまう。今回のような派手な失策が無くても、緩やかに死ぬ。VAIOにとって縮小均衡は死を意味していたはずだ。

今後についても、ある程度の見通しがある。1100人規模だったVAIO開発を縮小し、250~300人規模でVAIOビジネスを維持するつもりらしい。

VAIOの技術は残る ソニーモバイルからWindows端末発売の可能性も by 石野純也
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/199/199128/?rank1w

この1100人という中途半端に多い数が撤退を決断させた大きな要因だったことは見るに容易いので、それを減らすのは当たり前。300弱という数は、日本でいうと、松下Let’s noteあたりのビジネスと同規模だと思われる。

松下のビジネスは年産70万台位の会社なので、規模でいうと現状のVAIOの8~10分の1程度にビジネス規模になるはずだ。うん、確かにこの規模なら維持が出来るかもしれない。そうなった場合にビジネス的にはLet’s noteのような尖った仕様のPCを中心にして、利益中心のビジネスをするだろう。PCの値段は松下製品並位には高くなるし。松下同様、他社と比較されやすい普通のノートPCはラインナップから消えるだろう(事業規模の都合で、普通のPCを作ると値段で必ず負ける、松下が普通のPCを作らない理由はこれ)。

そして、新しいVAIOのビジネスが立ち上がった後の然るべきタイミングで、どこかのPCメーカーと合併する可能性が高い。単体で再び今までのビジネス規模を維持することは出来ない。拡大路線を描くことが出来ないので、どこかの巨大PCメーカーのブランドの一つあたりになるのがちょうどいい。そういった大きさになるまでVAIOを扱う新会社は小さくなるだろう。Dellでいう所のAlienwareみたいな感じだ。

これがVAIOの行く末だろうと思われる。

とか書いてたら、大河原氏が同じようなことを書いていた。やはり私は大河原氏の考え方に近い。

残されたのは“レッツノートが歩んだ道”?──ソニーPC事業売却【後編】
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140209/1055057/?n_cid=nbptrn_leaf_rank

ということは、大河原氏は松下のビジネスの問題も当然知っているはずだ。

松下のPCビジネスは事業規模が小さすぎてODMに開発委託をする等してコストダウンやビジネス拡大をする事が出来ない「100万台(出荷できない)病」を発症している。松下が目指せ100万台と言ってから何年たったか忘れた位なので、既に慢性化している。この規模だと製品は必然的に「日本製」になる、逆に「中国製」は作れない。

去年はマーケットが萎んだので、新しい何かが苦手な松下は縮小均衡路線に入っている。先にSONYは死ぬから縮小均衡が出来ないと言ったが、松下は既に入っている。そして製品の性格上、保守的な製品を得意としてきた松下は、縮小均衡路線から出る策が取りづらい。こっちも結構詰んでる状態なのだ。

松下のPCビジネスが事業規模に関わらず、消えないのは黒字を維持しているからだ。台数よりも黒字優先。ただ、松下のビジネス方針は新しい顧客を取りに行くというより、今のお客を大事にする保守的なビジネスなので、マーケットが縮小傾向にあるときにはマーケットが縮小しななりに利益が減る運命にある。

新しいVAIOが松下を手本にしたとして、再びWorld Wideブランドとして世界に躍り出ることは単体では難しいだろう。そこでLenovoの出番って事なんでしょうかね?

ソニー、「PC事業でLenovoと提携」報道にコメント 「事実ではない」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/03/news043.html

LenovoはPC界のフォルクスワーゲングループにでもなるつもりなんだろうか。