買ったまま放っておいた、1Q84 Book1<4月-6月>をやっと読んだ。これ面白いな。今までの村上春樹で一番面白いかもしれない。
村上春樹スタイルの集大成といったら言いのだろうか。現代的な小説の殻を借りたファンタジーという体裁がさらに巧妙にかつ強くなって、物語の大きな輪郭を巧妙に意図的にぼやかす。一方で、細かい伏線の方は結構スパスパ繋がっていき、主人公2人の繋がりもこの一巻の段階で早くも判明している。私はこの判りやすさ驚いた。逆に言えば、この二人の関係は早々に明らかにすべき話題で、それを前提に話が進むんだろうというのも判る。ジントニックを飲み、ピスタチオを摘む、ある日突然の出会いを願う、水泳をして体操をして、適当に性欲を発散させるなどの「お約束」は健在。
これが、芸風だと思えない人がどういう評価をするかが判らないのだが、このスタイルの中では抜群の面白さがある。上記の伏線の件も含めて、スタイルが洗練された分、迷いがなくて簡単になったのかもしれない。(過去作品と比較して)判りやすい。
ワンパターンっちゃぁワンパターンなんだけど、この人はそういう人じゃないんだよ。能とか歌舞伎とか盆踊りとかと同じで、変わらない型の中でちょっとだけ変わることを楽しむもんなんだし、芝居で言うと、新規の役者ってのはいなくて、演者はいつも同じなんだよ。キャラも4つ位しかないんだって。そんなもんで、それが面白いんだって。字面だけを追っかけたらダメなんだって。
つうことで、面白い。次も読まないと。