LANとWANとクラウド

Android OSにはデフォルトでProxyの設定が無い。何で無いかといえば、もとより携帯のOSなので、携帯経由で常にインターネットに繋がっている。LANの設定のひとつであるProxyの事なんて考えた事が無いのだ。気持ちはわかるが、Wi-Fiで企業内ネットワークに接続しようと思ったら、あれ?みたいな目に遭うだろう。というか遭った。

Android OSのWi-FiはLinux由来のIEEE802.11レイヤーと認証サプリカントを大体そのまんま積んでいるので、802.1X認証機能が”一応”ついている、一応と但し書きがあるのは、吊るしの証明書管理機能が何か変で、ルートCAの導入が出来ない。EAP-TLSやPEAP辺りはルートCAの証明書無しで運用する必要があるらしい。これも、Wi-Fiで企業内ネットワークに接続しようと思ったら、あれ?みたいな目に遭うだろう。というか遭った。

Androidの証明書管理は、Java由来のkeytoolを使っている。Linuxの場合はただのファイルなので、管理もへったくれもなかったと思うが、その辺だけはセキュリティ的にマズイと思ったのだろう。どっちにしても今の仕様は変だし、借りてきたコンポの組み合わせで、自力で開発したもんじゃないから、どうあるべきかなんてのも知らないんだろう。知ってりゃこんな仕様と実装にはならない。

ともかく、Androidは先ずGoogleに繋げる事がOSの根幹であるため、ローカルネットワーク、LANの設定をしようという発想がほぼ無い。WANだけなのだ。だからルートCAの管理はやんなくて良いなんて発想にもなる。この傾向のデバイスは他にもある、iPhoneだ。奴もLANに注力していない。

2010年代のデバイスの特徴は、LANが無い事だろう。従来LANとして何となく定義してきた無線LANやネットワークプリンタ、共有フォルダは、クラウドの出現によって再定義される。ストレージみたいなものはクラウドに、プリンタはPANに、無線LANはもはやWANとして機能する事になる。個人的にはこの方向性を歓迎する。LANなんて訳のわからないものは消えたほうがいいのだ。

私がLANが流行らない、特に家庭内LANが流行らないと思っている理由は、LANを、誰が、何の為に作り、どう管理するか。導入シナリオがいいかげんな割に必要とされるスキルが高いからだ。私個人としては、この手の作業はプロバイダ料や、通信費という形で事業者に資金を回し、委託して、全部クラウド化してしまえば良いと思っている。実際企業LANにはこの動きがあるわけだし、家庭内LANもまた然りということだ。

この流れにおいて、ホームネットワークなんてものを流行らそうとしていた人たちは、早急に自分たちの商品を再定義する必要があるわけだ。例えばDLNA対応機器とか、NASとかホームサーバーだ。個人的には廃れて当然と思うような技術ばかりだが、今後何か悪あがきがあるようなら、生暖かい目線でチェックしてみようかと思う。