VAIO S11 SIMフリーモデルは高品質なのか?性能は?

大好物のVAIOネタ。相変わらず話を「盛る」のが上手いなぁという印象。

SIMロックフリーLTEを内蔵したタフモバイルPC市場を切り開く「VAIO S11」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/20151209_734383.html

VAIO S11のLTEモデルは、SIMフリーモデルではあるが、記事中にあるように「モジュールレベル」ではDocomoのIOTにpassしたものだ。この「モジュールレベル」というのが曲者で、通常は「システムレベル」でIOTを行うので、一般的なDocomo対応モデルが行うべきVAIO S11の筐体にLTEモジュールを組み込んだ試験を行ってはいない(記事中にもその旨の記載がある)。

SnapDragonのようにリファレンスデザイン(QRD)があるプラットホームでは、設計時点でIOTに通るはずのデザインを提供するってのはそれほど珍しくはないというか、昨今当たり前になってきているので「モジュールレベル」認証は全然大したことがない。が、それがインタビューになると「モジュールレベル」の認証にpassしてるスゲー、「通信品質にこだわったがために、auやソフトバンクへの対応は見送る」のように見せるのは何とも「お上手」な記事だ。

一般消費者は通信機器がどのような認証をするのかが判っていないので、全体を敢えて見せずに限られた情報だけを与え、その中ではいいように見えるよね。という書き方だ。

実際は少なくとも下記3つの選択肢があり、その中で比較的金がかからない2番目の手段を取っているだけだ。「システムレベル」でIOTにpassするのは「モジュールレベル」よりもより高品質だが、そのためには準備期間を含めかなりのリソース(8桁円レベル)を要する。

1.「システム(製品)レベル」でIOT試験にパス
2.「モジュールレベル」でIOT試験にパス
3. IOTをやらない(技適しか取らない)

キャリアモデルのスマホは須らく1.であるべきなので、この記事は読む人が読めばVAIO S11のLTEはキャリアモデルの品質には及ばないと自ら宣言している記事でもあるのだ。

じゃ、3.はあるのかというと、中台資本のメーカーのLTEモデルにはあると聞いている。そういう意味では最悪ではないのかもしれないが、本格的ビジネスモバイルなら1.なんじゃないのかなぁと私は思う。

こうしてみるとインタビュー中にある「通信品質にこだわったがために、auやソフトバンクへの対応は見送る」「将来的には対応できるように検討していきたい」辺りはサービストークで根拠がないだろう。
この辺は主に導入するLTEモジュールの仕様の話であって、VAIOが頑張ってどうにかなるとは思えない。

さらに言えば、インタビュー中にあるこの記述は正確ではない。
>>(このことは、SIMロックフリーのLTEモデムを内蔵したスマートフォンやPCなどはすべて同条件となる)
SIMロックフリーの製品がシステムレベルのIOT試験にpassすることはできるので、「システムレベル」IOTにpassした「SIMロックフリー」の製品は存在が可能だ。「システムレベル」でpassした製品は「モジュールレベル」でpassした製品より品質状況が良い。「問題なく使える」ことをより完全に証明するために「システム(製品)レベル」のIOT試験があるのだから、高品質を謳うのであれば「システムレベル」IOTをやるべきなのだが、それをやっていない。やっていないけど、高品質だと言いたいため余計な文章を「付け加えた」ように見える。この文章は余計なお世話だ。笠原氏の思い込みに起因すると思われる記述で正しいとは言えないだろう。

てな状況を理解した上で、SIMフリーLTEスゲーって人はぜひ下記のアフィリエイトリンクから買っていただきたい。