東芝の個人向けPC事業の縮小は、終わりの始まりか?それとも大きな転換期?

まー、どっちもでしょうという話。

東芝、個人向けPC事業を縮小し900人削減へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20140918_667380.html

この話、ポジティブな見方とネガティブな見方、両方ができる。先ずは良くあるネガティブな方。

PC事業は決して楽ではなく、SONYの様に派手にやらかしてはいないがコンシューマー向けは今後先が無い。先が無いというか売る棚が無いと言った方が良いんだろうか?量販店において、かつてPCの置き場所であった場所が携帯電話やスマートフォンにとって変わられて既に数年経つ。

PCは既に一等地を失って久しい状態ではあったのだが、PC市場が右肩上がりである間は、2番手でも商売のやりようがあった。だが、以前このブログで書いた通り、PCのマーケットは昨年ここ30年間で初めて萎んだ。そして、恐らく二度と上がらないというのがほぼ既定路線となっている。かつてのオーディオ機器、最近の大型テレビが売り場の一等地を占めそして奥に引っ込んだように、PCも細々と売られる時代に突入しつつある。というのが東芝の発表から見て取れる。

そうなった場合、PCという商品はAV機器並みに深化していくというのが常套手段なのだが、それができるメーカーは限られるだろう。新生VAIOの年産35万台(!!!、800万台まで行ったVAIOの生産台数としては泣きたくなる数だねぇ)とか、松下Letsnoteの年産70万台程度なら、この深化路線は成立するが、年産1600万台クラスの東芝がいきなり深化とか言い出すと、VAIO以上の悲劇が起きる可能性があった。

いきなりは無理だから、その手前として個人向け縮小ってのはまぁ、定石なんだろう。1600万台規模で、全世界展開だと、販売チャネルのコントロールとかがかなりしんどい筈。この発表も、しんどいから辞めちゃおうという内容であるので、その辺は非常に正直だなぁと。

別の定石も考えられた。NECの様に、世界のトップベンダーに吸収されながら、拡大を続けるという線もまた定石であったのだが、今の所東芝はこっちの路線には行かない様だ。

さて、この状況下において国内3強の一角、富士通がどうするかってのは非常に見ものではある。

次、ポジティブな見方の方だが、この発表は、Intelの戦略をそのままなぞっているという見方もできる。

IDF基調講演、「Edison」アップデート版や新スマホSoC「SoFIA 3G」をデモ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/20140402_642448.html

IDF等でも既報ではあるが、Intelも既にモバイル向けCPU Broadwellや、組み込み向けプラットホームEdison、スマホ向けSoC SoFIA等々、Microsoft製OS以外の道を模索しており、この流れに乗っかれば東芝の発表もまぁこうなるわな。という部分も多分に見受けられる。

Intel SoC類は、Intel製x86 CPUの性格を受け継いだ形でIoTやSoCの分野に入り込めるのが一つの特徴なので、ARMが得意な携帯部門を富士通に売っ払った東芝は引き続きIntelにべったりな形でこの辺の事業に邁進しそうだという予想も立つ。

まー、大元のIntelの戦略変更も市場の変化を受けての事なので、マーケットは一変した、メーカーは変化しなくてはいけない。という点においては東芝の発表に突飛な点はない。

こっちの路線でも、じゃ、富士通ってどうすんだろね?って感じではある。